駄目なところがかっこいいんです。
駄目なところが好きなんです。
駄目じゃないと駄目なんです。
今回紹介する駄目ギターはギブソンの335-S。
ソリッドボディのES-335。
ソリッドボディのES-335
ギブソンのエレキギターの型番に「ES」というのがあります。
これは「Electric Spanish」の略で、つまり、「電気式スパニッシュギター」という意味。スパニッシュギターというのは、アコースティックギターのこと。空洞ボディであるアコースティックギターにマイクを付けて大きな音を出せるようにしました、という意味の型番。
ギブソン初のエレクトリックギター、ES-150から連なる由緒ある型番。
ES-335とは、1958年に発売された「セミ・アコースティック」と呼ばれる種類のギター。アコースティックとソリッドの中間、良いとこ取りした名器。
ES-335
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%96%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BBES-335
で、335-S。ES-335のソリッド版。1980年発売。ソリッドボディなので、ESの型番は付かない。デラックス、カスタム、スタンダードの3機種あり、それぞれボディとネックの材が違い、わかりやすい見た目の違いとして、デラックスとカスタムにはコイルタップスイッチとファインチューナー付きテイルピース付き。3年くらいしか作られず。その後もプレミア価格が付くこと無く、現在でもオリジナルモデルは10万円台で買えます。
数年前に再生産されて、その意味がわからなくて狂喜乱舞したのは良い思い出。
詳しくはこちらのサイトを(英語)
http://www.vintageguitarandbass.com/gibson/335S.php
スペックを見ると、クロスオーバー/フュージョン系ギタリストの需要を狙ってたのかなー。当時のクロスオーバー/フュージョン系ギタリストでギブソン使ってた人って、レスポールかES-335のイメージ。アレンビックあたりを意識してたのかな。ヤマハのSGとか。実際どうなのかはわからないけど。
アレンビックを使う渡辺香津美さん
ヤマハのSGを使うカルロス・サンタナさん
なんてこと考えてたら当時のカタログ画像を発見。
向かって左から、カスタム、デラックス、スタンダード |
「With the hard edged sound and high energy response that have made Gibson solid bodies the choice of so many rock headliners.」
って書いてある。
つまり、ロック・ギタリスト向けに作ったぜ、ってことみたい。まあ、クロスオーバー/フュージョン系ギタリスト向けにしては装飾が地味だと思ってたけど、そうか、ロックギタリスト向けだったのか。
1980年頃のロックギタリストの使用ギターといえば
イケイケドンドンだったエドワード・ヴァン・ヘイレンさんは自作ギター
ザ・クラッシュのミック・ジョーンズさんはレスポール
シンリジィを再度辞めたくらいのゲイリー・ムーアさんはレスポール
オジーオズボーンに入ったくらいのランディ・ローズさんはレスポール
エリック・クラプトンさんはフェンダー・ストラトキャスター
クイーンのブライアン・メイさんは自作ギター
なるほど。
で、この335-Sのどこが好きかといえば、1980年代が始まり、パンク、レゲエ、クロスオーバー/フュージョン、HR/HMなど様々な音楽ジャンルが広く知られるようになり、楽器メーカーはその時代に合わせた新しい機種を発表して行く中で、ギブソンの「セミアコの名器をソリッドにしたよー」という無邪気な感じ。そして、それが市場に受け入れられずに消えて行った寂しい感じ。これぞ駄目ギター。